省エネ住宅とシックハウス症候群

省エネ住宅では近年、シックハウス症候群が問題になることがあります。シックハウス症候群とは、住宅の新築や改築の直後に入居した人に起こる症状で、めまいや吐き気、頭痛、倦怠感、呼吸器疾患、湿疹などの体調不良が起きるものです。

このシックハウス症候群は、まだ認知されていない頃には上記のような症状は原因不明とされ、自宅療養などでさらに症状が悪化することがあったようです。

シックハウス症候群の原因は、住宅の中の建材や家具、日用品から発生する様々な化学物質が考えられています。

近年の住宅は建築する際に、接着や殺虫などの目的でいろいろな化学物質を使用しています。その化学物資が室内空気を汚染し人体に入りこむのです。

近年の省エネ住宅は特に気密性が高く、自然換気が十分に行われず、汚染された室内空気が留まりやすいため、シックハウス症候群の発生や悪化につながりやすいといわれています。

シックハウス症候群を発生させないためには、原因物質を生活環境から排除することが求められるのです。現在は法律でも建築材料や殺虫剤の使用を制限するなどの対策を行っています。

また、日常生活の中で換気方法や日用品の選び方に注意しなければなりません。特に新築や改築したてのころや、高温多湿になる夏は、化学物質の発散が多くなります。複数の窓を開放して十分な通風を確保し、省エネ住宅では換気設備を有効に利用して計画的に換気することが必要です。

そして、できれば室内は禁煙にするのがよいでしょう。カーテンやじゅうたん、床に塗るワックス類、防虫剤、洗剤などの日用品は化学物質を発散するものがあるので十分注意して選ぶ必要もあります。

省エネ住宅の機能を十分に生かすためにも、化学物質はできるだけ室内から排除したいものです。


省エネラベリング制度

省エネ住宅の普及に伴い、電化製品などでも省エネ型の製品が求められるようになりました。近年では電化製品や石油機器が普及しエネルギー消費量が増加しつつ、技術の進歩により省エネ性能の高いものが開発されるようになっています。

省エネラベリング制度は2000年8月にJIS規格として制定されましたもので、消費者が省エネ型製品を購入する目安となるものです。

省エネラベリング制度とは電気や石油などのエネルギー消費機器の省エネ性能を表示したものです。これは、消費者が店頭で製品を購入しようとする時、他機種との比較検討の材料として利用することを目的としています。

省エネラベルというものが各製品に貼られているわけですが、このラベルには4つの情報が示されています。

1、省エネ基準の達成を示す省エネ性マーク
緑色のマークは基準を達成した製品で、省エネ効果の高い製品ということになります。オレンジ色のマークは基準を達成していない製品です。

2、製品の省エネ基準の達成率を%で表した省エネ基準達成率の表示
この達成率が高いほど省エネ性能に優れていることになります。

3、省エネ基準の達成を目指す時期を目標年度として表示

4、製品のエネルギー消費量を数値で表示

現在ではテレビやエアコン、冷蔵庫など16品目が対象になっています。

省エネ性能が高い製品は消費エネルギーが少なくなり、光熱費を抑えることもできる製品でもあります。

省エネ住宅では生活用品にも配慮をして、環境や家計に優しいものを選ぶことが望まれるというわけです。

次世代省エネルギー基準

1990年代に入り地球温暖化のもたらす問題が指摘され始めて以来、日本でも、地球温暖化の防止対策の一つとして、各家庭における消費エネルギーを削減する取り組みが始まりました。そこで、それまでの省エネルギー基準が見直され、新たに定められたものが現在の次世代省エネルギー基準です。

そして、この基準を満たすため、快適な室内環境を保ちながら、さまざまな工夫で消費エネルギーを少なくするよう配慮された住宅が省エネ住宅というわけです。

次世代省エネルギー基準は「住宅に係るエネルギーの使用の合理化に関する建築主の判断基準」と「同設計及び施工の指針」というものを指しています。つまり、住宅や建築物の性能基準や建築する時の具体的な仕様などを、省エネルギー対策について具体的に定めた基準です。

家庭で消費されるエネルギーの約70%は冷暖房、給油設備だそうです。1軒ごとの消費エネルギーはわずかでも、日本中の家庭全てとなると膨大な消費量になります。

次世代省エネルギー基準の目的は、住宅の性能をあげることによって日本全体のエネルギー消費量を抑制することです。住宅のエネルギー消費量を抑えることが、地球温暖化の原因の一つである二酸化炭素の削減になるのです。

また、次世代省エネルギー基準は、断熱性と気密性を高めることを重視しています。これは日本の住宅が冷暖房を前提として建築されているためです。断熱、気密化により閉じる機能と、窓の設置により開ける機能を利用して、住まいを快適にするという考え方がこの基準の特色になっています。

省エネ住宅と補助金制度

省エネ住宅を普及させる為、国は各種の補助金制度を設置しています。

省エネ住宅というものの背景には、地球の環境問題があります。これは、1990年代から指摘され初めたことで、今では世界各国で防止対策が講じられるようになっています。もちろん、日本でも例外なく地球温暖化の防止対策の一つとして、各家庭における消費エネルギーを削減する取り組みが始まったのです。

その中の一つとして省エネ住宅の普及に国を挙げて取り組んでいるわけです。補助金制度は、そういった課題の中から生まれた制度なわけです。

省エネ住宅で、最近よく耳にするエコキュートですが、これの導入にも補助金制度があります。これは家庭の中のエネルギー消費量の3分の1を占める給湯に着目し、高効率給湯機であるエコキュートを導入する際にその費用を補助する制度です。

最近では、指定された高効率システムを住宅に導入する際に、建築主にその費用の一部を補助する補助金制度も設置されています。

太陽光発電システムの設置には、国の補助金制度を地方自治体が引継ぎ、自治体ごとに補助金制度があります。自治体によって条件は異なっていますが、太陽光発電システムの設置は高額な費用がかかるため補助金制度の効果が期待されています。

自治体の補助金制度ですが、それぞれ個別の制度を設けていますが、その内容によって自治体の環境問題へ取り組む姿勢が問われてくるでしょう。

省エネ住宅に関する補助金制度は、建築関係者の間では周知されていますが、まだまだ一般市民には知られていないのが実情のようです。省エネ住宅にこれからしていく場合には、これらの制度をよく理解して、上手く利用していきたいものです。

省エネ住宅と省エネ法

住宅ではさまざまなところでエネルギーを消費します。例えば冷暖房や給湯、冷蔵庫などの家電製品などです。省エネ住宅とは、生活における消費エネルギーを少なく抑えられるよう配慮された住宅のことをいいます。

国土交通省ではエネルギー消費量を少なくするために、省エネ法によって基準を定めています。

省エネ法の正式名称は「エネルギーの使用の合理化に関する法律」です。この法律は、建築物や機械器具において、石油、電力、ガスなどのエネルギーの効率的な使用促進を目的として制定された法律です。

省エネ法が制定された背景には、1970年代に起きた2度の石油ショックがあります。
この石油ショックで日本では産業や生活において省エネルギー対策が進み、エネルギーを効率的に利用する動きが始まりました。しかし、それ以後もエネルギーの消費量は上昇が止まらなかった為、1979年に省エネ法が制定されたのです。

この省エネ法はこれまでに1998年と2005年に2度の大改正が行われています。

1998年の改正ではトップランナー方式というものが導入されました。これにより自動車や電気製品の省エネ基準を、市場に出ている消費効率が最も優れた製品のものにすることが定められました。

2度目の2005年の改正では、消費者が省エネルギーに取り組むことを促進する規定も整備されました。当初は、省エネルギー基準の対象は自動車、電気冷蔵庫、エアコンの3品だけでしたが、現在では20品以上の品目に拡がっています。

省エネ住宅は環境にも優しく、住む人にも負担の少ない住宅であり、今では国をあげて省エネ住宅の普及に取り組んでいるのです。